著作権法の保護対象である「著作物」は、著作権法の規定では、
『(a)思想又は感情を
(b)創作的に
(c)表現したものであつて、
(d)文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの』
と定義されています(著作権法第2条第1項第1号)。
「デザインやイラストの著作物」は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」に該当すれば、「著作物」に含まれるものとされており、「デザインやイラストの著作物」には、ロゴや動物、人間等のイラストが該当します。
図-1 デザインやイラストの著作物
IoTの普及にともない、クラウド上に多くのデータ(ビッグデータ)が蓄積されます。そこで、AI(人工知能)がそのビッグデータを活用し、「デザインやイラスト」の創作物を生み出すことが考えられます。すでに、AIによるコンテンツ制作の取組み事例は出てきています。
■テイラーブランド社は、人工知能によりロゴを自動的にデザインするサービスを提供。
■ロゴの文字や色、営んでいるビジネスの種類等の情報を入れると利用者に合ったロゴをわずか数分で生成可能。
経済産業省新産業構造部会資料(平成27年12月)より引用
著作権法の保護対象である「著作物」は、前述の通り、著作権法第2条第1項第1号の規定により「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されていますが、AIによって創作されたデザインやイラストは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」に該当しないものとして、著作権法による保護対象にはならないと考えられています。
また、政府の知的財産戦略本部では、AI創造物における著作物の在り方について優先的に検討していくことが重要だと提言しています。(コンテンツ『音楽の著作物』-『IoT時代における音楽の著作物の著作権は?』を参照のこと)
以上のことから、AIによって創作された「デザインやイラストの著作物」の扱いについては、AIによって創作された「音楽の著作物」と同様、今後、著作権法の改正等の動向を注視することが必要であるとともに、自社のデザインやイラストの著作物が著作権法上の保護対象に該当するかどうか、自社のIoT事業が他社の著作権の侵害に該当するおそれが無いかどうか等を確認することが重要です。
自社のIoT事業が他社の著作権の侵害に該当するおそれが無いかどうか等の判断には、専門的な知識や経験が必要になりますので、まずは専門家にご相談ください。 著作権の専門家に相談する